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私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

{72}第7章 迷い道(5-2.重圧の果て)

「あなたは自分の人生を生きていない」 先生の予想外の言葉だった。 私は驚いて「えっ!」「どういうことですか?」 なおも納得できない私は「私はいろんなことを限られた選択肢の中でも、自分で選んでやって来ました!」と反論した。 「高野さん。それは、…

{71}第7章 迷い道(5-1.重圧の果て)

ついに生活を支えなければならなくなったにも関わらず、私は未だ仕事に対して迷っていました。 (ファイナンシャルプランナーの資格を活かして仕事をしたい) 私の漠然とした夢であり、希望でした。 独立系のファイナンシャルプランナーとして起業することを…

{70}第7章 迷い道(4-4.執行猶予)

私の予想通り、父の仕事はその後も不安定でした。 仕事が切れて焦る父を、私は市のシルバー人材センターに登録させました。 そこで、父は一日だけの植木の剪定や包丁研ぎの仕事を紹介されて行っていました。 しかし、簡単であっても大工仕事だけは絶対にしま…

{69}第7章 迷い道(4-3.執行猶予)

それは祖母からの電話で、『母が公営住宅に引っ越すから、私に保証人になってもらえないか』ということでした。 私は即座に断りました。 金輪際、母と関わりたくないこともありましたが、実は私も数年前から公営住宅に移り住んでいたからでした。 私は『公営…

{68}第7章 迷い道(4-2.執行猶予)

父と訪れた高齢者対象の職業紹介所は、私が行き慣れた職業安定所とは違い、落ち着いた雰囲気で相談をしながらゆっくり仕事を探すことができました。 期待はしていませんでしたが、それ以上に現実は厳しいものでした。 大工仕事は当然ながら皆無で、六十を過…

{67}第7章 迷い道(4-1.執行猶予)

私の勉強は通信大学の卒業、ファイナンシャルプランナーの上級資格取得で終えることができました。 その間、一つの仕事に定着できないでいた私は就活と転職を繰り返していました。同時期、父の仕事も上手く行っていませんでした。 震災後、しばらくは大工仕…

{66}第7章 迷い道(3-3.現実逃避)

雇用保険の【修学支援制度】を利用できる通信制講座の一つであり、費用、期間、興味が私に一番合っていたというだけで正直何でも良かったのです。 期待していなかったにも拘らず、いざ勉強を始めてみると、私が知りたかったことの集大成といった内容でした。…

{65}第7章 迷い道(3-2.現実逃避)

『社会に出れば実力がものを言う』とはいえ、学歴で門前払いされることを経験した私は次の目標に通信大学を受講することにしたのです。 それは、(法律を勉強したことを無駄にせず、何らかの結果として残したい)という思いの方が強く、学歴云々というのは二…

{64}第7章 迷い道(3-1.現実逃避)

窮屈で忙しい日々を過ごしながらも、私は資格取得という目標と夢を見つけていました。 非正規雇用の私は、自分が主体となってスキルアップを試みなければいけないと前向きに考えていました。 それは、仕事に役立つスキルというだけでなく、 (履歴書に書ける…

{63}第7章 迷い道(2-3.束縛)

母が居た頃は、私の帰りが多少遅くなっても父は何も言いませんでしたが、二人で暮らすようになってからは、私が『帰って来るまで眠れない』と文句を言うようになりました。 私が十時過ぎに帰宅しようものなら、八時就寝の父には遅いということであり、いい歳…

{62}第7章 迷い道(2-2.束縛)

事情を言うため電話をしても、電話嫌いの父は出ません。 大急ぎで仕事を終えて帰ると、当然のことながら何も食べずに待っています。 空腹であり就寝時間も過ぎているので父の機嫌は最悪です。 私が『何か適当に買って食べれば良かったのに』と言っても、 『…

{61}第7章 迷い道(2-1.束縛)

私は最初に就職した医院以後、非正規雇用で働いてきました。 それには様々な理由がありますが、就業時間にこだわったことが一番でした。 父の生活時間帯は朝三時から夜八時。 朝は弁当のおかずを用意しておけば、後は自分で適当に詰めて持って行きます。 お…

{60}第7章 迷い道(1.価値観の違い)

私は職人である父を尊敬していました。 中学を卒業後、内弟子として親方の家での修行時代は私が想像できないくらい、さぞかし大変だったと思います。 父はよく『お父ちゃんが、賢かったら大工にならんかった』と 本気とも冗談とも取れるようなことを言ってい…

{59}コーヒーブレイク(第6章 阪神淡路大震災)

私のマンガ人生は貸本屋の存在無しには始まらなかった。 商店街にあった貸本屋は学校帰りに寄ることができ、自宅からも近く利便性バツグンでほぼ毎日行っていた。 一泊二日一冊数十円で借りることができたので、子どものおサイフにも優しかった。 また、常連…

{58}第6章 阪神淡路大震災 (5-4.第二の決心)

それは、当時の私が考えられる限りの母への注意であり、願いだったのでした。 そして、これ以後、私は母と話すことも会うこともありませんでした。 --------------------------------------- ここまで言って、私はずっと胸の内に閉じ込めていた想いを梅木先…

{57}第6章 阪神淡路大震災 (5-3.第二の決心)

私は別れの言葉を伝えるために、母の元へ行きました。 そして、ローンの残額と定年までの家賃の負担分がほぼ同額であることを説明し、『ローンの一括返済を肩代わりすることを最後に、一切の関わりを断つ』と言ったのでした。 私は母に、『何か悩みがあるの…

{56}第6章 阪神淡路大震災 (5-2.第二の決心)

それは、田舎の田んぼが売れて、祖母と母、弟妹達でお金を分けることになり、母に思わぬ臨時収入がもたらされたのでした。 母は祖母に『いつこに残してやるために買った』と言って、宝石を買っていたのです。 再び、購買欲に火が付いてしまった母は臨時収入…

{55}第6章 阪神淡路大震災 (5-1.第二の決心)

被災後、私と父だけでなく母もすぐに部屋を借りることができ、それぞれが仕事も続けられたことは本当に運がよかったとしか言い様がありませんでした。 しかし、(今後の生活を考えると、喜んでばかりいられない)と、私は正直思っていました。 何故なら、家…

{54}第6章 阪神淡路大震災 (4-3.別居)

それからの母は、ほぼ理想通りと言ってもよい部屋が決まりご機嫌でした。 また、大阪に住む母の叔母が電話の加入権を譲ってくれたので、電話を使えるようにもなりました。更に、私は母の新生活に必要なものを揃えるため、久々に二人で三宮へ行くことにしたの…

{53}第6章 阪神淡路大震災 (4-2.別居)

引っ越しはしましたが、水道が使えるようになるまで、父は避難所での生活を続けることにしたので、私は引き続き避難所に通っていました。 母は避難所で私達といる間、お金はもとより食事や身の回りのことを全部私に任せっきりでお気楽そのものでした。 しか…

{52}第6章 阪神淡路大震災 (4-1.別居)

引っ越しの日は、田舎から父方の伯父夫婦も様子を見に来ていました。 私の両親は共に実の母親が姉妹である、いとこ同士の結婚でした。 だから離婚しているとは言っても、親類であることに変わりなく、伯父たちと母は正直気まずそうでした。 今回のことで、伯…

{51}第6章 阪神淡路大震災 (3-3.希望を持つこと)

自宅待機中で暇な私が、仕事に出ている父と母の食事を準備していました。救援物資だけでなく、自分たちで惣菜を買って来て食べていました。 三人での食事は、はっきり言って楽しいものではありませんでした。 他の人たちの手前もあり、怒鳴り合うまではいき…

{50}第6章 阪神淡路大震災 (3-2.希望を持つこと)

私はアドレス帳を探し出して、その夜近くの公衆電話から友人たちに連絡しました。 奈良在住の友人は、『役所に問い合わせて、こちらへ探しに行こうとまで考えていた』と言い。 大阪で一人暮らしの友人は、『何日でも泊まりにおいで』と言いました。 こんな風…

{49}第6章 阪神淡路大震災 (3-1.希望を持つこと)

私は手を酷使し過ぎて書店の仕事を辞めざるを得なくなり、その後幾つかの仕事を経て、子宮ガン診断などの検査をする事務に転職していました。 神戸の東灘にある職場に連絡出来ずにいた時、同僚が避難所に探しに来てくれたのです。 私は住む場所も決まり、避…

{48}第6章 阪神淡路大震災 (2-3.行動すること)

父が営業している銭湯があると言うので、私達は早速行くことにしました。 二時間近く並んで、漸く入ることが出来た風呂は、まさに、【芋の子を洗う】状態でした。 湯船にはお湯が僅かしかなく、それも垢が浮いたもので、体と髪をどうやって洗ったのかわかり…

{47}第6章 阪神淡路大震災 (2-2.行動すること)

その夜、大家さんから私達にアパートの賃貸契約を解約するという話がありました。 契約書を見せられ、説明を受け、すぐに手続きが終わりました。 敷金の一部は戻って来ましたが、私達は新たに住む所を見つけなければならないのと、大家さんが『建物の解体を…

{46}第6章 阪神淡路大震災 (2-1.行動すること)

震災当日は、私がコンビニで買った僅かな食料を私達三人と大家さん夫婦で分けて食べましたが、翌日は何もありません。 私は自転車に乗って飛び出しました。 近くの小学校の体育館に行って食料を分けてもらおうと考えたのでした。 慌てていた私は、『住んでい…

{45}第6章 阪神淡路大震災 (1-2.無事であること)

アパートは全壊でした。 私の住む一階の部屋は隣の大家さんの家が支えとなっていましたが、母の部屋から先は建物が無く、大きく傾いていました。 一旦、部屋に入って服を着替え、靴を履き、貴重品を取り出した私は近くにあるコンビニに向かいました。 コンビ…

{44}第6章 阪神淡路大震災 (1-1.無事であること)

ふっと目が覚めました。父がいつものように朝の支度をしている気配がします。(もう少し、眠れるな)と思った瞬間、 天井が【ドドドドドド】と鳴りました。 (また、天井裏でネズミか何かが暴れているのかな) 埃が落ちて来るのが嫌で布団を頭まで被った途端…

{43}コーヒーブレイク(第5章 被害者同盟)

我が家は一部屋4.5畳・3畳・風呂無しを壁をぶち抜いて二部屋分を借りていた。 当然のことに父がリフォーム(?)した。 各部屋は上半分透明・下半分すりガラスの引き戸で仕切られ、私の部屋に置いてあるテレビを隣の居間から家族で観ていた。 だから、自分の…