{64}第7章 迷い道(3-1.現実逃避)
窮屈で忙しい日々を過ごしながらも、私は資格取得という目標と夢を見つけていました。
非正規雇用の私は、自分が主体となってスキルアップを試みなければいけないと前向きに考えていました。
それは、仕事に役立つスキルというだけでなく、
(履歴書に書ける資格を身に付けたい)ということでもありました。
興味のあったものはある国家資格でした。
しかし、難関で合格が厳しいという以前に、私には受験資格がありませんでした。そこで、受験資格を得るために、別の国家資格を目指すことにしたのです。
これまで全く興味のなかった法律の勉強が始まりました。
週に一、二回、仕事の後スクールに通う生活は、ちょうど震災の直前から始めたこともあって、最後まで休まず続けることが私の第一の目標であり支えでした。
法律について少しずつわかってくると、
改めて(自分は何も知らなかったのだ)と感じずにはいられませんでした。
こうして法律を身近に感じることができたためか、勉強が面白くなり時間を忘れて取り組んでいる自分がそこにいました。
当時を振り返って思うには、
(頑張っている自分の姿に私は酔っていただけなのかもしれない)ということです。
何回かのチャレンジも虚しく、私は資格取得を諦めました。
また、受験資格がないため受けられなかった国家資格への興味も無くなっていました。
努力が必ず報われるとは限らないのはよくわかっていましたが、
この悔しさはずっと私の中で消えることはなかったのでした。