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私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

2023-01-01から1年間の記事一覧

{138}エピローグ

それは、あるセミナーのワークショップで突然に起こった。 今日はどんな新しい知識が得られるのかとワクワクしてその場に臨んだ私は、講師の話が進むうちに自分のカウンセリング体験を思い出していた。 (ファイナンシャルプランナーになりたい)と思ったき…

{137}最終章 おひとりさま(4-5.母 逝く)

後見人の行政書士が『デイサービスから預かって来た』と言って、アンパンマン人形とスタッフの寄せ書き2枚を渡してくれた。 その色紙を見た瞬間、堰を切ったように涙が溢れ止まらなくなった。 そこには母がデイサービスで過ごした日々を写した切り抜きが何…

{136}最終章 おひとりさま(4-4.母 逝く)

九月に入ったある日 母が亡くなったと 義理の叔母が知らせてくれた。 『特養へ最後に(母に)会いにくるのなら、手配するので娘さんに聞いて欲しい』と 行政書士からの言づてもあった。 「いっちゃん、どないする?」 「私らが(特養へ)行ったら余計な手間…

{135}最終章 おひとりさま(4-3.母 逝く)

特養(特別養護老人ホーム)に入所した母がコロナに感染したと義理の叔母から連絡があった。 後見人である行政書士との連絡先が叔父であり、そこから私に伝えられることが本当に迷惑をかけて申し訳なく思う反面助かった。 なぜなら、直接聞くより義理の叔母…

{134}最終章 おひとりさま(4-2.母 逝く)

応接室に通されるまで、ダイニングが目に入らないよう廊下の壁にピッタリ貼り付いて待つ時間は本当に地獄だった。 叔母が母に話しかけている。 「お義姉さん、わたし〇〇。わかる?」 「わからん!」 と大きくハッキリした口調の母の声。 なおも叔母が二言三…

{133}最終章 おひとりさま(4-1.母 逝く)

義理の叔母からの着信履歴があった。 普段から特に用事が無ければ電話をかけてこない事を考えると嫌な予感がした。 再度、叔母からの電話があり予感は的中した。 「いっちゃん。 行政書士(母の後見人)から電話があって、 『ケアマネージャーが娘さんに会い…

{132}最終章 おひとりさま(3-3.大叔母)

大叔母は終活にも余念がなかった。 訪ねる度に部屋にあった作品が減っていき『ほとんどを他人に譲った』と言って、お気に入りが一つ二つ残っているだけ。 後に知るのだが、大叔母はガンを患っていたのだった。 そして、『細かい手作業が以前のように出来ない…

{131}最終章 おひとりさま(3-2.大叔母)

大叔母は冠婚葬祭などの付き合いを大事にしていた。 震災時、銭湯帰りに何度か立ち寄らせてもらったことがあった。 母の性格上、甘やかしては図に乗ると判断してか絶対に泊まらせてはくれなかったが、『避難所の皆と分けなさい』言って箱買いしたインスタン…

{130}最終章 おひとりさま(3-1.大叔母)

私のおひとりさまとしての目標は大叔母(母の叔母)である。 彼女は昭和ひとケタ生まれで青春時代を(第二次世界大戦の)戦中・戦後で過ごした。 乳飲み子であった母と暮らしたこともあり、母を叱責し意見できる唯一の存在であった。 兄弟の末っ子で一人娘の…

{129}最終章 おひとりさま(2-12.父 逝く)

パートを始めたのはファイナンシャルプランナーとして独立するにあたって、当座の生活費を得ることと興味のある職種だったからだ。 フルタイムと違って融通が利き、セミナーの参加など勉強の時間も確保できるはずであった。 しかし、実際は担当する顧問先が…

{128}最終章 おひとりさま(2-11.父 逝く)

四十九日に納骨をした。 霊園には私、父方母方双方の叔父、通夜葬儀で世話になった寺の住職が送迎バスで向かった。現地では墓購入からずっと担当してくれている〇〇さんが万事滞りなく納骨式を行ってくれた。 墓を作った当初、 『お父さん、これで(眠る場所…

{127}最終章 おひとりさま(2-10.父 逝く)

団地に住むことで誰かしら近所の人と話ができた。 事故の後片づけでお世話になった人にあらためてお礼を言い、父が亡くなった事を伝えた。 また、事故の様子も詳しく聞けた。 階段の一段目からの転倒であり、向いの棟からよく見えたため発見が早かったという…

{126}最終章 おひとりさま(2-9.父 逝く)

葬儀後、一週間の休みを取っていたこともあって、私は悲しみはから逃れるように動き回った。 寺に葬儀のお礼を持って行き、住職から戒名の意味について長話を聞く。 仏具店に寄り、私の部屋に置くにあたって新調する予定の仏壇と弟と父の位牌を注文する。 こ…

{125}最終章 おひとりさま(2-8.父 逝く)

葬儀にあたって、田舎から伯父夫婦、叔母夫婦、従兄弟が来てくれた。 八十一歳の父の兄妹は当然ながら高齢であり、遠方から来てくれたことにさぞかし父も嬉しかっただろう。 他には父方の叔父夫婦、母方の叔父夫婦と田舎から叔母も来てくれた。 この叔母のあ…

{124}最終章 おひとりさま(2-7.父 逝く)

葬儀が終わるまで、遺族が悲しみに浸っている暇はない。 朝から葬儀社の人と通夜、葬儀について一連の説明を聞きながら様々な事を決めていく。 実は、(父がもう駄目だ)と諦めていた私は事前に見学して、概要を聞いていたのだった。 いつもながら、最悪の場…

{123}最終章 おひとりさま(2-6.父 逝く)

父の容体が安定したため、救急救命センターから一般病棟へ移って、 その後施設で介護を受けるための気管切開をすることになった。 また、一般病棟では個室代が高く、いつまで入院するかわからない状況に私は悩んだ。 無理を言って、ナースセンターの隣にしば…

{122}最終章 おひとりさま(2-5.父 逝く)

決まっている面会時間にしか会えないうえ、家に居ても落ち着かない。 パート先からの方がすぐに病院へ行けることもあって、出勤して毎日退勤後に面会時間の6時から8時に父を見舞った。 看護師からウェットティッシュを渡され『顔や手を拭いてあげてくださ…

{121}最終章 おひとりさま(2-4.父 逝く)

翌日も叔父は病院に来てくれた。 救命救急センターの医師から『変わらず予断を許さない状態だが、安定している』と説明を受けた後、ようやく父への面会ができたのだった。 ベットで口を大きく開けて眠る父の姿は頭に包帯、顔は打撲による内出血のため青く腫…

{120}最終章 おひとりさま(2-3.父 逝く)

昼休憩の時、携帯電話に見知らぬ人からの2件の着信履歴。 メッセージがあったので聞くと民生委員からで『お父さんが階段から落ちて救急車で病院に運ばれました。電話に出られないので弟さんへも連絡しました。すぐに病院に向かうと言われました』 頭の中が…

{119}最終章 おひとりさま(2-2.父 逝く)

父は週1回の家事援助に加えて、週二回デイサービスを利用するようになった。 行き帰りは車での送迎、体操や器具を使って体を動かすことができ、昼食にお弁当も頼めた。 他に入浴サービスもあって、 私は『個浴で、男性スタッフに背中を流してもらえて頭も洗…

{118}最終章 おひとりさま(2-1.父 逝く)

大工であった父は過去2回仕事中に大怪我をしていた。 一度目は柱と歩板の間に体が挟まって入院。その後リハビリをしたが頸椎の損傷が完治せずに本人にしか感じることができない程度の後遺症が残った。 二度目は二階の足場から転落。運よく資材の上に落ちた…

{117}最終章 おひとりさま(1-2.再び)

冷静になって考えると、安定した今の仕事を失うことはリスクが大き過ぎたし、これからも仕事量が増えていくことが予測できる中、私が抜けることでチームの仲間に負担を強いることになる。 こうして私が悶々とするうちに日々は過ぎていった。 予測通り業務が…

{116}最終章 おひとりさま(1-1.再び)

術後五年が経った。 私は80%の方に入った。 この頃から、私は生かされていることだけでは満足できなくなっていた。 それは、(自分の本当にしたいことをすることであり、自分の人生を生きたい) という思いが強くなっていたことでもあった。 私は生活をし…

{115}コーヒーブレイク(第9章 自分の人生)

術後一年が過ぎた頃から、一人暮らしが本当に楽しくなった。 手術前から続けていたボイストレーニングに加えて、ホットヨガを再び始めることで体力に自信が持てるようになっていた。 また、少しでも元気に見えるようにパーソナルカラーも学んだ。 その年の十…

{114}第9章 自分の人生(3-7.気がかり)

墓移転は順調に進むと思っていたが、意外なことに田舎の伯父が難色を示した。 檀家で管理している墓地からの移転に(周りからどう思われるか)と言うことが気がかりだったのだろう。 『今まで、伯父さんだけでなく伯母さんにもお世話になっておきながら勝手…

{113}第9章 自分の人生(3-6.気がかり)

後悔のないよう気になる事は解決しておきたいと思ったことにお墓があった。 田舎にある弟の墓参りには父が毎年お盆の帰省を兼ねて行っていた。 片道3時間かかる上に駅からタクシーに乗り墓地で待機してもらって、再びタクシーに乗って伯父の家へ行く。 墓参…

{112}第9章 自分の人生(3-5.気がかり)

私は福祉の担当者に現在の私の状況 (一年前に癌になって五年間は再発の不安があること) (父が無年金で私が生活費を管理サポートしていること)を説明した。 さらに、これまで母の浪費癖でどれだけ大変だったか。 離婚してからも、出来る限り援助してきた…

{111}第9章 自分の人生(3-4.気がかり)

ある日、役所から【お知らせ】が届いた。 内容は母が生活保護の申請をしていて扶養義務者に今後の扶養についての意思確認を求めるものだった。 母に関することは私にとっていつも驚きであり狼狽させられた。 文書では詳細がわからない。 私の都合も知っても…

{110}第9章 自分の人生(3-3.気がかり)

父は私の渡す生活費の範囲内で日々の食事や日常品の買い物、病院代、交通費、小遣いを遣り繰りして(させて)いた。 洗濯は大好き。綺麗好きで食器洗いやシンク周りは問題なかった。 部屋とトイレの掃除は私が週1回休みの日にしていた。 ずっと銭湯を利用し…

{109}第9章 自分の人生(3-2.気がかり)

電話嫌いの父だが、私への電話は頻繁にあった。 『いっちゃん、洗濯機が動かん!見に来てくれ!』 『どんな様子なん』と私。 『水は出るけど、回らん』 『お父さん、蓋閉めてる?全自動は蓋開けてたら動かんよ』 『動いた。ありがと』 毎度、自分の要件を言…