{117}最終章 おひとりさま(1-2.再び)
冷静になって考えると、安定した今の仕事を失うことはリスクが大き過ぎたし、これからも仕事量が増えていくことが予測できる中、私が抜けることでチームの仲間に負担を強いることになる。
こうして私が悶々とするうちに日々は過ぎていった。
予測通り業務が多忙となり、私の日常は様変わりした。
平日は家に寝に帰って、すぐに仕事へ行き、休日は何もする気力がなくただただ眠り続けた。その上、右肩が痛みだして、また五十肩になった。
勤労感謝の日、布団の中でぐずぐずしていた時、頭の中でアラームが鳴った。
(危険、危険!あの頃と同じ)
(このままではまた病気になる)
(今、行動しなければきっと後悔する)
(それだけは絶対に嫌だ!)
もう、迷いは無くなっていた。
私の退職は、私の年齢からいってもまずあり得ないと考えていた同僚たちに驚きを与えたようだった。
また、猫の手も借りたいところ何も言わず私を送り出してくれた彼らに
私は心から感謝せずにはいられなかった。