{115}コーヒーブレイク(第9章 自分の人生)
術後一年が過ぎた頃から、一人暮らしが本当に楽しくなった。
手術前から続けていたボイストレーニングに加えて、ホットヨガを再び始めることで体力に自信が持てるようになっていた。
また、少しでも元気に見えるようにパーソナルカラーも学んだ。
その年の十月にパーソナルカラーの先生が
『ファッションショーをするのでモデルをしないか』と言われた時には、
二つ返事で出演を決めた。
そして、ファッションショーにはお世話になった義理の叔母、友達、鍼灸院の先生を招待した。
黒のドレスを着て、ランウェイを歩く私の元気な姿を見てもらうことが、
私からの皆へのせめてもの感謝の気持だった。
韓国ドラマにも夢中になった。
おかげで韓国好きの同僚と翌年の二月に韓国へ旅行することができた。
それは、生まれて初めての海外旅行であり、パスポートを作るのも当然に初めてだった。
勤続五年の休暇で、ツアーではあったが北海道への一人旅もした。
仕事の続かなかった私が一人暮らしの生活を支えるためとはいえ、仕事にも充実感を持って取り組むことができるようになっていた。
二十四時間を自分のために使うことが、こんなにも私に色々な変化をもたらしてくれるとは想像以上だった。
私は幸せを実感した。
生かされていることに心から感謝した。