{102}第9章 自分の人生(1-4.第三の決心)
夜の十時を過ぎていたと思います。
神戸の叔父夫婦が私に会いに来てくれました。
「いっちゃん、今お父さんの所で話して来たから、あんた一人で暮らしたらいいわ」
義理の叔母からのにわかに信じ難い言葉でした。
「えっ、どういうこと?」
と、訳のわからない私です。
さらに叔母のビックリな言葉は続きます。
「私らが保証人になるから、部屋を借りたらいいわ」
私は何も言えず、ただただ叔母の次の言葉を待ちました。
「私、あんたのお父さんに言うたんよ。このままだと、いっちゃんが死ぬって!」
「・・・・・」
「死なせたくなかったら、一人暮らしさせたらなあかんって!」
「・・・・・」
「あんたのお父さん『わしさえ、辛抱したらええんやな』と勝手なこと言うてたけど、そういうことやからあんた一人で暮らしなさい」
青天の霹靂でした!
その後、叔母は父との会話についていろいろ話していましたが、
残念ながら私の記憶には全く残っていません。
ただ、父を説得するには相当、骨が折れたようでしたが最後には叔母の迫力に負けたのだと知りました。
この事態の急展開には、叔母の素早い行動なくしては絶対にあり得ませんでした。
私は感謝の気持を十分に伝えられないことをもどかしく思いながら、
「ありがとうございました」
と何度も何度も繰り返し、叔父夫婦に頭を下げるより術を知りませんでした。