{101}第9章 自分の人生(1-3.第三の決心)
梅木先生はもう呆れたといった様子で、溜息をついた。
「先生、父を殺すつもりなら、もうとっくに殺していますよ」
「なぜ、殺さなかったのかといえば、殺しても私が損するだけで何の価値もないことがわかっていたからです」
と言って、私は苦笑いをした。
「ほんとにそうね」
と、先生も私の考えに同感してくれたのだった。
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これ以上、父と話しても無駄なので、私は『寝る』と言って話しを打ち切りました。
寝ると言ったものの、私は腹が立って眠れません。
(父にわからせるためには実力行使しかない)と考え、
早速実行するべくインターネットでホテルを予約したのです。
翌日の午後三時過ぎ、父が銭湯に行っている間に置手紙をして、
私はプチ家出をしました。
ホテルの部屋から父方の田舎の伯父と母方の神戸の叔父に電話をして、
私は事情を話したうえで『味方になって欲しい』と頼んだのでした。
神戸の義理の叔母は、『夜に会いに行くから待っているように』と言いました。
そこまでのことを期待していなかった私には叔母の意図がわかりませんでした。