{105}第9章 自分の人生(2-3.一人暮らし)
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「先生、その後の薬の服用についてですが、副作用のためか検査の度に白血球が減り続けていて、主治医がこの状態を『気持ち悪い』と言って
服用を中止することになりました」
「これは、私の白血球が『薬の助けがなくても自力で頑張れる!』と言って
抵抗しているのだと思います」
こんな私の無茶苦茶な解釈にも、
「そうね。あなたの言う通りだと思いますよ」と、
先生は賛同してくれたのだった。
これに気を良くした私は、思いつくままに話していた。
「私、以前義理の叔母から『あんたようグレんと育ったなぁ』と言われたことがあって、それは私が親から愛されて育てられたからだと思ったんです。
記憶になくても、赤ん坊の頃は大事にされていたと・・・」
先生は頷きながら、
「皆、そのことに気付いていないのですよ」と言った。
私はなおも続けて、
「父の愛情は私を手放さないで傍に置くことであり、
母は自分の虚栄心を満たしてくれる者しか求めていなかったということです。
残念ながら、どちらも私の望んだ愛情ではありませんでした。
私は突き放して欲しかった。
そして、どんな私であっても見捨てず、
最後は味方でいてくれると思えるだけで充分だったのに・・・」