{85}第8章 病気(2-5.衝撃)
午後からは看護師の友達が会いに来てくれました。
私は彼女に『父と自宅に行ってキャッシュカードを探した後、
父と一緒にATMでお金を引き出して来て欲しい』と頼みました。
同時に持って来て欲しい物も。
私は今まで携帯電話を持つことに必要性を感じていなかったのですが、
職場への連絡などをする上で持っている方が便利だと思い、
彼女に『携帯電話の新規加入契約を替わりにして欲しい』と更に頼んだのでした。
彼女は本当に頼りになり、良くしてくれました。
昨夜といい、私は友達に恵まれていると感謝したのでした。
その夜、病状について説明がありました。
父と二人で聞くつもりでしたが、父が叔父を呼んでいたので三人で聞くことになりました。
わざわざ来てくれた叔父の手前、私は叔父に感謝を言ったものの、
本音は
(何で?伯父さん関係ないやんか)
(ほんとにお父さん弱すぎる)と思っていました。
担当医の話は『余命云々』と言ったものではなく、
検査で撮った画像の説明で終始しました。
私は自分の癌を見ても取り乱すことはありませんでした。
また、『肝臓に影があり転移したものか分からない』
という担当医の言葉にも冷静でした。
そして、癌が腸を塞いで腸閉塞になっているということがわかりました。
実は、この時不思議にも私は死ぬ気がしなかったのです。
だから、癌を怖いとも思っていなかったのでした。