{84}第8章 病気(2-4.衝撃)
まず、私は母に会ったことで、これまでのことを否が応でも思い出すことになり、
悔しさの余り癌のことを考えずに済んだのでした。
そして、今日、両親に言いたかったことをぶちまけた私は、
(もう死んでも思い残すことは何も無い!)
と覚悟を決めることができたのでした。
他に、私は自分のことより、
今回も不甲斐無さを露呈した父のことが気掛かりでした。
生活費のことはもちろんですが、何より精神面が心配だったのです。
こうして私は自分が【父の保険】であったのだと思いました。
次の日も検査があり、私が病室に戻ると驚いたことに母がいました。
『何しに来たん!』
と言いたいところを我慢して、
『友達に助けてもらうから、あなたには何もお願いすることはありません』
『あなたにそこにいられると私はゆっくり休むことができないので帰ってください』
『それから、自転車で来る途中に事故にでも遭われたら困るから、
もう二度と来ないでください』
と言ったのでした。
母は帰って行きました。