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私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

{36}第5章 被害者同盟 (2.父娘会議)

 家に帰った母に対して父の怒りは収まらず『出て行け』と言ったので、私は近くに住む母の異母弟である叔父に電話で事情を簡単に説明し、母を泊めてくれるよう頼みました。


 叔父の家に、母を預けて帰って来た私を父が寝ずに待っていました。


『お父ちゃん、お母ちゃんと別れたほうがええかな』


(この期に及んで、今更何言っているんだ)と思いながらも、私は、


『お父さんの好きにしたらええ』


(この夫婦がどうなろうと自業自得、好きにすればいい)と考えていた私に、

父は信じられない提案をしてきました。


『お母ちゃんと別れたら、いっっちゃん、お父ちゃんと一緒に暮らしてくれるか』
『お母さん、どうするの』
『あれのことは、ほっとけ』
『お母さん、借金あるのに、ようやっていけへんのと違う』
『そしたらどうしたら、ええんや』
『別れる替わりに、お母さんの借金、私らが全部返すしかないんと違う』
『そしたらそうしてくれるか、頼むわ』


 父の何とも身勝手な言い分ではあったけれども、

私は【離婚】という信じ難い言葉の魔力に引き込まれるように、


『わかった』と返事をしていたのでした。


『離婚届、明日、貰って来てくれ』と言って、父はさっさと寝てしまったのでした。


後に残された私は(そんなことまで、私にやらせるのか)と溜息が出たのでした。