{81}第8章 病気(2-1.衝撃)
入院すれば楽になれると思っていた私の願いは叶えられませんでした。
嘔吐から十数日、食事はもちろんのこと、医院での点滴だけでは栄養が足りていなかったことから、私は長時間の点滴をしなければならなくなり、それに伴う尿意のためトイレへ日に何度も行くことを余儀なくされたのでした。
こうなると眠ることもできなくなりました。
(家に居る方がましだった)と正直思いました。
医大病院での検査結果が出たということで、父に取りに行ってもらうしかありません。私は結果を心配するより、父がちゃんと受け取って来られるかの方が心配でした。
その夜、あの担当医師が私のベッドに来て尋ねました。
『以前、大腸で浮腫があったところはどの辺りだったのか』と。
私は自分の腹部を触って、
『この辺でした』と言ったのでした。
医師は納得できたといった感じで病室を出ていったのでした。
翌朝、私は担当医師に呼ばれてナースセンター内のカンファレンスルームに行きました。
そこで、私は癌の告知を受けたのです。