{80}第8章 病気(1-4.我慢)
『動けない』と言う私をおぶって救急車へ運んでくれました。
救急車では『落ち着いてゆっくり呼吸をするよう』に言われましたが上手くできません。ドラマでよく観るビニール袋を当てての呼吸を想像していた私は、紙袋を手渡されてほっとしたのでした。
運ばれた救急病院は、以前父が頸椎を痛めた時に入院した病院でした。
応急室のベッドで医者に診てもらう頃には、私の症状も落ち着いていて
『帰って良い』と言われたのですが、
私は腹痛がもとでの過呼吸であることと、これまでの経緯を一生懸命訴えたのです。
医者は私の腹部に聴診器を当て、『大丈夫、腸は動いている』と言って、私を帰したのでした。
その後も、私は医院で点滴を受けていましたが食欲は無く、体力はどんどん落ちていきました。
医院の先生が大きな病院で診てもらうよう紹介状を書いてくれたので、私は父に付き添ってもらって医大病院に行ったのです。
医大病院は大病院特有の待合の長さに加えて、広い構内を検査のために動き回らなければなりません。体力の限界であった私にとって本当にきつい時間でした。
『検査結果はすぐには出ない』と言われ、別の検査を受ける予約をしてその日は帰宅したのでした。
このままずっと自宅のベッドで過ごすことは、私の気力も体力も限界でした。
私は『検査まで入院させて欲しい』と言うために、予約日を待たずに医大病院に行ったのです。
私の期待も虚しく、『検査のための入院はできない』と言われました。
それでも入院したい私は、すぐに入院ができる病院を改めて紹介してもらったのでした。
紹介された病院は、救急で運ばれた病院でした。
そしてあろうことか、担当となった医者は『大丈夫』と言って私を帰した、
あの医者だったのでした。
それは二週間後の再会でした。