wish

私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

{114}第9章 自分の人生(3-7.気がかり)

 墓移転は順調に進むと思っていたが、意外なことに田舎の伯父が難色を示した。

 

 檀家で管理している墓地からの移転に(周りからどう思われるか)と言うことが気がかりだったのだろう。

『今まで、伯父さんだけでなく伯母さんにもお世話になっておきながら勝手なお願いをして本当に申し訳ありません』

『ですが、これから先の代替わりした時を考えて、引き続き従兄夫婦にお世話になることは心苦しくてできません』と私の考えを伝えたが、

伯父は最後まで首を縦に振らなかった。

それでも最後は、【改葬許可証】に現在の当番の墓地管理者である伯父は署名・捺印してくれたのだった。

 

 墓じまいの日は父との待ち合わせが上手くいかず大変だった。

 父を探すため予定の列車に乗り遅れた私を待たずに自分だけ先に着いていた父に文句を言われ、その日お世話になる販売会社の人を長時間待たせたことを伯父からも注意されて散々な思いで過ごした。

 伯父の家に出向いて今までのお礼をした後、田舎で世話になっている寺の住職に読経をしてもらい、弟の骨の欠片を拾い、処分する墓石を業者に持ち帰ってもらった。

 販売会社の担当者の好意で途中まで送ってもらうことができ帰途に就いたのだった。

 今でも、この出来事について担当者と話すことがあって、良い笑い話になっている。

 

私の拘りの墓石の表は【ありがとう】の文字と筆記体の苗字とユリの花。

裏は命日と戒名とクローバー。

フォルムは以後同じフォルムの墓石が増えていくというものであった。

 

 開眼法要の日、父と私は手ぶらで送迎バスで行き、霊園で僧侶の依頼、花、供物、祭壇などを準備してもらっていた。

つつがなく終えることができて販売会社の担当者には感謝しかない。

 心残りが一つ無くなったこともあり、穏やかな日となった。