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私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

{42}第5章 被害者同盟 (5-2.無心)

 しばらくしたある日、母が私に『本当に離婚しているのか』と訊いたので、

『離婚届は出してある』と答えると、

次の瞬間、耳を疑うようなことを母は言ったのです。


『私、慰謝料貰ってないねんけど』
『え、今さら何言うてんのん。第一あんたの借金全部引き受けたやん』
『それとは、別や』
『・・・』
(この人はどこまで身勝手で自分本位なんだ)

 母の理不尽な言葉は、私を不安にさせました


 今思い出しても、当時の私は恥ずかしいぐらい無知でした。


 離婚届を提出する際に【親権者欄】にチェックを入れていたところ、係の人に不必要なことを指摘され、その場で訂正印を何箇所も押したことを思い出したのでした。


 そして、困った私は市の無料法律相談を受けたのでした。


 相談は、母に慰謝料を払わなければならないのか。将来、私の母に対する扶養義務についてでした。


 相談員の法律家の話では、離婚から三年経っていて、母には慰謝料を払わなくて良いということでした。

 また、母の扶養義務はあるが、同居の父を優先して扶養すること、自分の生活を犠牲にしてまでの義務はないとのことでした。


 帰り際に、相談員から私は家庭裁判所の地図と連絡先が書かれた紙を渡されました。

 相談員の気の毒そうな表情が、不安は解消されたが事態が深刻であることを、改めて私に実感させたのでした。

 

 珍しく、祖母から電話がかかってきました。

 祖母が言うには、『トミちゃんが成仏できず悲しんでいる』という驚くべき内容でした。
 私は予てから、(トミちゃんのお墓を早く建ててやりたい)と思っていたので、祖母の話はショックであり、同時に自分の今までの行いを弟から責められていると感じました。


 次の瞬間、私は涙ながらに祖母に訴えていました。
『私がこんなに苦労してんのは、おばあちゃんのお母さんの育て方が悪かったせいや』と。


 数日後、母が祖母から手紙が来たと言って、
『あんた、年寄りに、ようこんな酷いことが言えたな。ほんまに怖い子や』と怒り、

私を責めました。
(もとはと言えば自分が原因なのに、逆恨みもいいところ。よく言えたものだ。

また、言葉でいくら言って⦅トミちゃんがかわいいと⦆いても、実行⦅供養⦆しなければしてないも同然だ)


 この時ほど、私はつくづく母という人を最低な人間だと思ったのです。


 そして間もなく、小さな弟の墓を建てたのでした。


 また、一つ肩の荷が下りたようで本当に嬉しかったです。