{56}第6章 阪神淡路大震災 (5-2.第二の決心)
それは、田舎の田んぼが売れて、祖母と母、弟妹達でお金を分けることになり、母に思わぬ臨時収入がもたらされたのでした。
母は祖母に
『いつこに残してやるために買った』
と言って、宝石を買っていたのです。
再び、購買欲に火が付いてしまった母は臨時収入以上に宝石類を買い、更にローンを組んでいたのでした。
これで私は何度、母に裏切られたことになるのでしょうか。
正直なところ、自分でも覚えていられないぐらいです。
そしてまたしても、私を引き合いに出して、自分を正当化しようとする母という人間の狡さに、私はほとほと嫌気がさしたのでした。
当然のことながら私は母を罵倒し、責めました。
それは同時に、私という人間の醜さを嫌というほど、思い知らされることでもありました。
私は、怒りの余り、母を足蹴にしてしまったのです。
最悪の気分でした。
私にこんなことをさせた母を(心底憎い)と思いました。
(このままでは、母も自分も駄目になる)
私は心を決めました。
(鬼になる!)
(母を捨てる!)