{57}第6章 阪神淡路大震災 (5-3.第二の決心)
私は別れの言葉を伝えるために、母の元へ行きました。
そして、ローンの残額と定年までの家賃の負担分がほぼ同額であることを説明し、『ローンの一括返済を肩代わりすることを最後に、一切の関わりを断つ』と言ったのでした。
私は母に、
『何か悩みがあるのか』
と訊きました。
母は首を傾げて
『何も無い』と答え、
『後悔していない』とはっきりした口調で言いました。
そして、
『あんたは、一生お父さんから離れられない』
と残酷に言い捨てたのです。
『あんたを厳しく育て過ぎた』
とも言われました。
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「はぁ~」
呆れたといった感じで思わず梅木先生が発したものだった。
「よく言えたもんだと思いませんか。ほったらかしていただけなのに」と私。
「その通りよね」と先生は頷いた。
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(ああ、本当に救いようのない人だ)
と思いつつ、私は
『フミエさん、あなたは一番大切にしなければならないものを大切にしなかったんだよ。この紙に気を付けることを書いてあるから読んどいて』
と一枚の紙を母に渡しました。
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一.支払い期日は必ず守る
二.まずは必要なお金・次に貯金・残ったお金で生活する
残ったら貯金するでは一生お金は貯まらない
三.いずれ年金だけで生活することを考える
今のうちから準備しておくこと
四.病気になったらお金がかかることを忘れるな
健康が一番大切! コレステロールの治療は最優先!
五.安物もたくさん買ったら高くつく
六.『本当にいま必要かどうか』よく考えてから買い物をする
七.身の丈にあった生活習慣を身に付ける
八.自分へのご褒美もたまには必要
頑張れ!!!!
お金を返してくれるのなら○○銀行○○支店 普通○○○○○○○ タカノイツコ
に振り込んでください。(すこしずつでいいから)
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