wish

私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

{69}第7章 迷い道(4-3.執行猶予)

 それは祖母からの電話で、『母が公営住宅に引っ越すから、私に保証人になってもらえないか』ということでした。


 私は即座に断りました。


 金輪際、母と関わりたくないこともありましたが、実は私も数年前から公営住宅に移り住んでいたからでした。


 私は『公営住宅の保証人にはなれない』と祖母に説明したのでした。


 それから数日後のことでした。


 また祖母からの電話で、『母が公営住宅に引っ越すことができた』と知らせがありました。
 祖母の話では、『離婚と震災の時に世話になった叔父が保証人になってくれただけでなく、引っ越しも手伝ってくれた』ということでした。


 母からも電話がありました。


 留守番電話のメッセージは、引っ越したことだけでなく、またもやお金の無心でした。
 いままでの所を出る際に、『敷金の戻り分でも家賃の滞納が精算できず期限までに支払いをしなければならない』といったものでした。
 私は連帯保証人である責任上、ほっとく訳にもいきません。

父にお金を渡し、同時に母がちゃんと支払いをするかを見届けるよう頼んだのでした。


 父から振込票を受け取り、話しを聞いてみると、伯父夫婦は保証人や引っ越しの手伝いだけでなく、母に生活必需品も買い与えてくれていたのでした。

 また、『他に何もないか』とまで母に聞いてくれたそうですが、さすがに家賃の滞納については母も言えなかったらしいです。

 私は母でも(弟には多少の遠慮というものがあるのか、それとも見栄からか、やっぱり最後は私が何とかしてくれると思ったのだろう)と理解したのでした。


 大正解でした。


 母は『これ以上、伯父夫婦にはかっこ悪くて頼めなかった』と言ったそうです。

続けて、父が『母から頼まれたことがある』と言い出しました。


 母が言うには『入居するのにお金が掛かったので、今月の家賃が足りない。出来れば、来月分の家賃も貸して欲しい』といったもの。


(どこまで図々しいんだろう)


 悔しいことに、伯父夫婦が母にしてくれたことを考えると、私は母の頼みを無視することができなかったのです。


 翌日、父にお金を預けたのでした。

 
 そして、伯父にお礼の電話をした時、母にまたお金を都合したことを言えませんでした。