{67}第7章 迷い道(4-1.執行猶予)
私の勉強は通信大学の卒業、ファイナンシャルプランナーの上級資格取得で終えることができました。
その間、一つの仕事に定着できないでいた私は就活と転職を繰り返していました。
同時期、父の仕事も上手く行っていませんでした。
震災後、しばらくは大工仕事をしていましたが、そのうちに仕事が切れてしまい、次の仕事の当てがない父は自暴自棄になっていきました。
生活を支えることに自分の価値を置いていた父でしたから、私はそれをごく自然な父の反応だと思って余計なことは言わず、むしろ励ましていました。
しかし、私の想いとは裏腹に、父は先行きの不安と暇を持て余すことに耐えられず、ついには生活費を無断で全てパチンコに使い果たしてしまったのでした。
これには私も怒りが収まりませんでした。
父の不甲斐無さに、私は何度も情けない思いをしてきましたが、ことお金に関してだけは信じていました。
それなのに・・・。
起こってしまったことをいつまでも責めていても仕方がありません。
父も反省し、身の置き所がないといった様子です。
私は父に『高齢者対象の職業紹介所に行ってみるか』と訊いたのでした。