{71}第7章 迷い道(5-1.重圧の果て)
ついに生活を支えなければならなくなったにも関わらず、私は未だ仕事に対して迷っていました。
(ファイナンシャルプランナーの資格を活かして仕事をしたい)
私の漠然とした夢であり、希望でした。
独立系のファイナンシャルプランナーとして起業することを考えました。
女性のための起業塾でどうすれば起業できるのかを学んだのでした。
すぐに私の考えが甘かったと実感させられました。
私には夢を実現させるためのビジョンがありませんでしたし、
何よりも覚悟が足らなかったのでした。
(私は何もできないんだ)
(今まで何をしてきたんだろう)
これからのことを前向きに考えられないでいました。
それでも生きていくためには、どこでもいいから働くところを見つけなければならないと、頭の中ではずっと唱え続けていました。
一年間の契約社員として働くことになって、ほっとした反面ここが駄目なら後がないとも思いました。
また、頑張らないと契約の更新がないかもしれないという不安もありました。
仕事の内容は正社員とほとんど変わりなく、担当を任されれば、当然に責任も伴いました。
上司は『契約社員であっても、遣り甲斐を持って仕事に取り組める』と言いましたが、正社員との待遇の違いや正社員への登用の機会が与えられていないことを考えると、都合の良い言い分だと思っていました。
同じ契約社員同士の会話も会社や仕事に対する不満ばかりで、私より先に入った人達は皆、更新をせずに退職していきました。
私はまともなマニュアルもない中、仕事を覚えることに必死でした。間違いを注意されながらの仕事には遣り甲斐などどこにもありませんでした。
それでも、もう後がない私には辞めるという選択肢はあり得ません。
とうとう、体が悲鳴を上げ始めたのでした。
それはストレスから来る胃炎で、私は精神安定剤と胃酸を抑える薬が手放せなくなっていました。毎日体に鞭打って勤務し続けていた私は、更に四十肩の痛みにも耐えなければならなくなったのです。
限界だと思いました。
どうにかして健康を回復しなければと思い、会社で知った相談機関に電話をしたのでした。
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「ここまでが、私が診察を受けるに至ったいきさつです」
と言った。
全てを話尽くした私は、梅木先生の言葉を待った。