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私がFP(ファイナンシャルプランナー)になった理由

{21}第3章 両親 (3-1.ペット)

 どうしようもない母でしたが、子供である私はそれでもまだ、母を心底嫌いにはなれませんでした。

 機嫌の良い時の母とは、友達のように喫茶店でお茶をしたり、浪費予防のためとはいえ、買い物に付き合ったりと楽しい時間を過ごすこともありました。テレビのドラマも一緒に見ては、感想を言うなど会話もよくしていました。


 私が高校一年生の時、いつものように母とドラマを見ていて、中学生が警察に連行されるシーンがあり、
『お母さん、もし私がこの子のように、警察にお世話になることがあったらどうする?』
と何気なく聞いたことがありました。


空かさず母は
『そんなことになったら、あんたとは親子の縁を切る。世間に対して恥ずかしい思いをする子はいらない。』
と言われたのです。


 その瞬間、私の中で何かが急激に冷めていくのを感じました。同時にショックを受けたというよりも、納得できたといった感覚がありました。


(ああ、私はこの人にとってのぺットだったんだ。)と。


 そう考えれば、すべてが腑に落ちました。母の機嫌次第で可愛がられたり、そうでなかったり。母にとって必要な時に役立ち、私が他人から褒められた時などは、どんなに私が大切な存在であるかと聞かされたものです・・・。

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むしろ、世間では私よりペットの方がずっと可愛がられて大切にされていますよね。」
と自嘲気味に話す私に、

梅木先生は、頷きながら
「本当に、その通りだわ。」
と言った。