{75}第7章 迷い道(5-5.重圧の果て)
カウンセリングは終えたが
『自分の本当に望む人生を生きていない』という、根本的な問題は解決していない。
正直なところ、今の自分が解決できるとは到底思えない。
しかし、私はカウンセリングを受けたことで、色々なことに気付けた。
今まで、私は断片的ではあるが両親について、親しい人に話を聞いてもらっていた。
そして、皆一様に同情と励ましの言葉を言ってくれた。
それは、私には慰めであったが、本当の意味での癒しにはなっていなかった。
私には、子供の頃からこれまでの自分自身を認めてやることが必要だったのだ。
それは、
『いっちゃん、今までよく頑張ったね』
と褒めてやることだった。
また、傷付いた自分を心から労わることだった。
梅木先生に自分の過去を話しながら、私は私について泣き、私について笑うことが素直にできた。
今まで親しい人達にもどうしても話せなかったことを、梅木先生には何のためらいもなく話すことができた。
私が心から願っていたことも叶えられた。
それは、誰かに弟のことを話し、知ってもらうことだった。
梅木先生は、どんな私でも認め、私の気持を一緒に感じとってくれた。
それが素直に嬉しかった。
こうして、私は梅木先生と過去を振り返ることで、また現実と向き合う気力が戻ったのであった。
同時に、私は子供の頃から自惚れが強く、ナルシストだったことを改めて思った。
私は自分を信じている。
そして、私は自分を愛している。