{93}第8章 病気(4-2.復活)
(今日こそは、何が何でも私を起こして歩かせる)
気でいた看護師の友達は、私の姿を見て拍子抜けしたようでした。
私は(イレウス管だけは二度と御免だ)と思っていました。
ですから、本当に必死のパッチで頑張りました。
看護師が『職場の上司から面会の問い合わせがあった』と言うので、
私は少しでも元気な姿に見えるよう美容院に行くことを希望しました。
なるべく早くしてもらうということで外出を許可され、病院の近くで行ったことのある美容院に一人で行きました。
シャンプーとカットをしてもらい私は非常に満足でした。
後に、治療で髪が抜けても良いように短すぎるショートにしてみると、やつれた感が少しましになりました。
それは、まだ食事も始まらない、術後五日目でした。
その頃の私といえば、ベッドでテレビを見ていると食べ物のCMばかりが目について仕方がなかったです。
三週間以上も何も食べていないのですから、食べることにさほど興味のない私でも食べ物が恋しかったのでした。
明日から食事が始まるという前の夜、担当医師から経過が良好なので『ゼリーなら食べても良い』と言ってもらえました。
私は早速、父に【珈琲ゼリー】を買って来て欲しいと頼み、食べたのでした。
(美味しかった・・・)
こうして、二十六日にわたる絶食が終わったのです。