{14}第2章 いっちゃん(4-3.期待)
中学二年の時、念願のテニススクールに一年間通わせて貰えました。
その日は、レッスンに間に合わず、後で母が来てくれると言うので、初めての場所にひとり不慣れな電車で行くことになり、その途中で痴漢行為をされたのです。
テニスのレッスンが終わり着替えをしていた時のことです。それまで、ジャケットとスカートが汚れていることに、焦っていた私は全く気付いていませんでした。汚れが何なのか直ぐにはわかりませんでしたが、直感でそれが精液だとわかりました。
傍にいた母にもわかっていたと思いますが、見て見ぬ振りをして助けてくれませんでしたから、仕方なく自分で始末しました。
正直、当時の私がどれほどショックを受けていたかと思うと、今でも可哀想で堪りません。
そして、帰り道ではもっと最悪の気分でした。
それは、母に私が汚いものであるかのような態度をされたからです。
『あれは何だったのか』と聞かれた私が
『わからない』と答えると、
『気持ち悪いから近寄るな』と言われました。
そう・・・このように、慰めてくれるどころか母から拒絶されたのです。